EQ COLLEGEコラム39
次世代リーダー × 感情
「次世代リーダー」の出現や育成がいま、多くの日本の企業で期待されている。それは「管理職候補」と何が違うのだろうか?
そこには、グローバリゼーションやAIを始めとする技術の進化といった事業環境変化を突破してイノベーションを起こさなければサバイバルできない、という企業の危機感が背景としてある。
日本で次世代リーダーが注目されるようになったのは1990年代にさかのぼることができる。バブルが崩壊しグローバル時代が到来する中で、将来の経営を担う人材の育成が課題となった。2000年代に入ると育成プログラムは活発化する。2010年に入ると、次世代リーダーの育成は研修テーマに留まらず後継者計画や配置といった経営課題として扱われるようになり、そしていま、喫緊の課題とさえなっていると言えるだろう。
次世代リーダーは、過去の経験の延長線上で組織内の運営に長けた従来の「管理職候補」とは異なり、自社に留まらない多様なネットワークをつくり組織や事業の在り方を変革する役割を求められているのだ。

日本の茶道や武道には、「守破離」という師弟関係のプロセスがある。「守(る)」は、師匠から教わった型や技を徹底的に守ること、「破(る)」、は、自分に合った型を模索すること、そして「離(れる)」は、自分自身の型を確立することを意味する。つまり、次世代リーダーには現状の打破、つまり「破」の役割が求められていそうだ。
だが、“次世代リーダー”と目される立場の感情はどうだろうか?企業や組織には「ポスト」というものがある。働く人たちは、そのポストを争っている。優秀な人材ほど、その評価を危うくするような冒険をしなくなる。野球に例えれば、思い切ったプレーをしなければエラーもしなくなるようなものだ。ここに次世代リーダーを求める組織感情と当事者の環境のギャップが生まれる。それは「次世代リーダーのジレンマ」とでも言うべきものかもしれない。そして、このジレンマの根底にあるものをたどると、企業の文化にフィットする採用や「正解のあるもの」を与えて来た教育システムに行きつくことになる。
こうしたジレンマを打破するためには、対象者の思考や感情を「リフレーミング(物事を見る枠組みを変え、これまでとは異なる視点や解釈を与え直すこと)」が必要となる。その手法のひとつとして注目されているのが、普段関わることがないような人たちと切磋琢磨(せっさたくま)する“越境学習”や企業同士の“他流試合”だ。
だが、これは次世代リーダーに限ったことではない。正解の無い今という時代、誰もが心地よい場所(コンフォートゾーン)から抜け出して自分の伸びしろをつくる場所(ストレッチゾーン)に挑むことが求められているのかもしれない。

