他者理解を深める
EQを活かしたコーチングで信頼関係を築く
コーチングで信頼関係を築くために、何が必要か?
「この人が何を考えているのかわからない」
「部下と心から通じ合えている実感がない」
リーダーとして、または同僚として、こうした思いを抱えたことはないでしょうか?
コーチングの場面でも、表面的なやり取りにとどまらず、本音で話し合える信頼関係を築くことが成果に大きく影響します。そこで役立つのがEQ、つまり感情知能を活かした「他者理解」のアプローチです。 EQを土台にしたコーチングで、相手の感情や価値観を理解し、真の信頼関係を築くためのヒントを見ていきましょう。
EQを活かした他者理解のアプローチ
他者理解を深め、信頼関係を築くために、コーチが取り入れるべきEQ視点のアプローチを以下にまとめました。
1.「相手の感情をまず受け止める」
受け手の感情に寄り添うことは、信頼関係の基盤です。「それは大変でしたね」「苦しかったですね」といった相手の感情を受け止める言葉を使うと、受け手は理解されていると感じ、心を開きやすくなります。
2.「非言語コミュニケーションを意識する」
表情や姿勢、声のトーンなどの非言語も大切です。例えば、受け手が言いにくそうにしているときは「無理をして話さなくても大丈夫です」と促すことで、安心感を与え、信頼関係が深まります。
3.「質問で受け手の視点を探る」
「それについてどう感じていますか?」「その決断にどんな思いがありましたか?」といった質問を通して、受け手の感情や考えを引き出し、互いの理解を深めます。
事例:本当の思いに気づき、信頼関係が深まった瞬間
ある企業の管理職の方が、EQを活用して部下との信頼関係を築いた事例があります。
長年自分を支えてくれる優秀な部下がいるものの、彼は組織でのキャリアアップにはあまり関心がないように見え、その姿勢に疑問を感じていました。しかし何度面談し、対話をしても彼の姿勢は変わりません。
そこで、EQを活用し、彼の本音に触れることを目指しました。
具体的には、EQの27の行動特性のスコアの一つ一つについて、丁寧に、このスコアになった理由を尋ねていきました。
JapanEQのアセスメントは、性格診断のようなものとは違い、「受検したその人自身が自分をどう判断しているか?」が表れます。したがって、そのスコアになっている理由を丁寧に聴いていくと、その人の真実がみえてくるのです。
それまで何度面談を繰り返しても気づかなかった部下の価値観や優先している目標が、EQスコアを媒介として対話することで見えてきて、その行動の背景を深く理解できたといいます。
新たな理解を基に部下の姿勢を受け入れると、部下も次第に本音で会話できるようになり、信頼が深まったと実感したそうです。
このように、EQを用いて受け手の本音や感情を引き出し、その背景を理解することで、信頼関係が一層深まり、より円滑で成果の上がる関係が築かれるのです。
他者理解が生む信頼関係とその意外な効果
相手の本音に耳を傾け、深く理解することで生まれる信頼関係。それは、単なる業務上の連携にとどまらず、相手の意欲や成長を引き出し、自ら変化に向かう力をも生み出します。EQを活かした他者理解は、相手が安心して自己表現できる環境を整え、コーチとしての関わりをより効果的に、そしてパワフルにするのです。
EQコーチの役割は、受け手との信頼関係を築き、彼らが自分の課題に積極的に向き合い、行動を変える姿勢を引き出すことです。EQ的アプローチを通じて提供するのは、単なる一時的な解決策ではなく、受け手が自ら成長し続けるための力を育む真のサポートなのです。
他者理解を深めるEQを活用したコーチングは、受け手の安心感と信頼を引き出し、成長の土台を築きます。コーチが受け手の感情に共感し、視点を理解することで、受け手は自己理解を深め、さらに高い目標へと向かう力を得るでしょう。
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