強いだけのリーダーではもう通用しない
自分らしさを活かすEQの力

自分は「リーダー」にふさわしいのか? 多くのマネージャーが抱える違和感

私たちJapan EQコーチが企業でマネージャーや管理職の方々と接する中で、よく見聞きするのが、「自分はリーダーとして適しているのか?」という不安の声です。

意外なことに、実際に組織の中でリーダーシップを発揮している方々でも、「自分がリーダーである」という自覚をしっかり持っている人は少なく、また、自覚があっても、内心では「自分なんかがリーダーでいいのだろうか」と悩んでいるケースが多くあります。
その背景には、いわゆる「古いリーダー像」への無意識のとらわれがあるようです。たとえば、「大きな声でチームを引っ張る」「誰よりも強く、率先して引っ張る」といった、昭和的とも言えるリーダーのイメージです。多くの方が、その型にはまらない自分に引け目を感じ、「あのイメージになれない自分は、リーダーに向いていないのでは」と思い悩んでいるのです。 

「自分をどう見ているか」がリーダーシップの出発点

先日、あるマネージャーの方とのコーチングで、まさにそのような状況を目の当たりにしました。その方は、「自分が知っている“リーダーらしい人”」と自分自身との間にあるギャップに深く悩んでいました。自分をその理想像に合わせようと努力するものの、どうしても「しっくりこない」。その違和感が、自信のなさや不安につながっていたのです。

そこで私が投げかけたのは、たった一つの質問でした。

「あなたはご自分のことを、どう見ていらっしゃいますか?」

少し間を置いて、その方は自信なさげに、少しずつ言葉を紡ぎ始めました。自分にとても厳しい方で、これまであまり“自分をどう見ているか”を考える機会がなかったようです。

そこで、私が感じていたその方の印象から誠実で、観察力があり、丁寧に人と関わろうとする姿勢を率直にお伝えしたところ、「そんなことを言ってもらったのは初めてです」と驚いた様子を見せました。

その方にとって“自分を見る目”は、常に他人の厳しいフィルターを通したものでした。でも、本来「自分を知る」とは、自分の目で自分を見ることなのです。他人の視点ではなく、自分自身の内面からの視点を持つこと。ここが、リーダーシップを築く上での出発点だと私は考えています。

自己認識の難しさ なぜ私たちは“自分”をつかめないのか

私は、孫子の兵法の中の有名な一節が好きです。

「敵を知り己を知らば百戦危うからず」

これは、相手の情報だけでなく、「行動を起こす自分自身」を深く知ることの重要性を説いています。つまり、相手だけを知っていても足りない。“自分を知る”ことが、勝ち負け以前に重要だということです。

ところが現代は、情報があふれ、他者の動向は手軽に知ることができる一方で、「自分自身を知ること」が後回しになってしまいがちです。SNSで「誰かの成功」を見ては落ち込み、他人の評価で自分の価値を測ってしまう。そんな環境に、私たちは無意識にさらされ続けています。

たとえば、就職活動の面接では「自分の強みや弱みを話すこと」が求められますが、実際にそれを自信を持って語れる人は少ないのが現実です。自分一人で自己分析を完結するのは案外難しく、むしろ家族や親しい友人など、身近な他者の視点を借りて初めて見えてくる自分もいます。 しかし、誰もが周囲にそうした人間関係を持っているとは限りません。では、どうすれば“自分らしさ”を見つけることができるのでしょうか。

EQという“リーダーのための新しいコンパス”

そこで私たちが活用しているのが、Japan EQのアセスメントツールです。EQは、「感情を認識し、活用し、調整する能力」を測定・可視化するもので、近年リーダーシップ開発の現場で注目されています。

EQは、単なる性格診断とは異なり、自分の内面にどう反応し、他者とどう関わるのかという「感情の使い方」にフォーカスしています。特に管理職やマネージャーにとっては、自分自身の感情に気づく力(自己認識)と、それを適切にコントロールする力(自己制御)が、リーダーとしてのあり方に大きく影響します。 つまりEQは、「自分の感情の使い方を知ることで、自分らしいリーダーシップを築く」ための実践的なツールなのです。

「あなたらしいリーダーシップ」は、あなたの中にすでにある

あなたの中にすでにある「強み」や「人となり」は、誰かの理想像に合わせることで見失われるべきものではありません。

“リーダーらしさ”とは、決して「声が大きいこと」や「人前に出ること」だけではないはずです。内省的で、丁寧に人を見守るリーダーもいれば、静かな信頼を寄せられるタイプのリーダーもいます。
大切なのは、自分自身のあり方を知り、それを活かすことです。

もし、今の自分に対して違和感や不安を感じているなら、それは「あなたにリーダーとしての可能性がない」からではありません。むしろ、それに気づけていること自体が、リーダーとしての成長の第一歩です。

EQ(感情知能)は、その第一歩をサポートしてくれる確かなツールです。
あなたの中にすでにある価値や可能性を、EQを通して見つけてみませんか?

これからのリーダーシップは、「らしさ」ではなく、「あなたらしさ」から始まります。
冒頭のマネージャーが、EQを選んでくれたら、と心から思います。

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ジャパンラーニングキャリアコーチ久保青子
EQを活用したコーチングを通じて、組織開発やキャリア開発を支援しています。 メンバー一人ひとりの感情に寄り添い、行動の変化を促すことで、組織全体のパフォーマンス向上と持続的な成長を実現することを目指しています。
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