EQ COLLEGEコラム33
労働環境 × 感情
さまざまな働く現場の人手不足は、労働環境にも大きな影響を与えている。
株式会社NEXERとスピーカーズが共同で実施した「 転職しようと思ったきっかけ に関するアンケート(2026年1月実施)※1」の結果によると、転職を考えたきっかけの第1位に輝いたのは「 心身の不調(ストレス・体調不良)を感じた」(13.3%)。その要因として、パワーハラスメント などが挙げられている。
※1 転職のきっかけNo.1は心身の不調!300人アンケートランキング
また、パーソル総研が昨年末に発表した「離職の変化と退職代行に関する定量調査 ※2 」では、「離職につながりやすい不満」について2019年と2025年の比較を行っている。
※2 日本の「離職理由」はどう変化したのか― データから見る新しいリテンション・マネジメント – パーソル総合研究所
2019年では、「労働時間が長い」「サービス残業が多い」といった制度や運営面での不満が30%を占めていたが、2025年調査では1位の「上司の指示や考えに納得できない」をはじめ、納得感の欠如をはじめとする人間関係的・感情的な要素が占めるようになっている。
働き方改革の検討が2016年に始まって10年。
労働環境をめぐる制度(ハード)の導入は確実に進んできている。
その一方で、「ソフト」とも言える職場での人間関係や感情の運用が追いついていないという課題が浮き彫りになっている、と言えそうだ。
言い換えれば「働きやすい環境」は整ったが「働きがいのある環境」とのギャップがある、ということになる。

厚生労働省は毎年、働く人の仕事や職業生活における不安やストレスの実態について調査する「労働安全衛生調査(実態調査)※3 」を実施しているが、昨年8月に発表したレポートでは、改めて生産性向上が重要課題として提示されていた。
※3 令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況
しかし、生産性もまた、制度(ハード)だけではなく感情比重が増していることを改めて認識する必要がありそうだ。
今や、労働環境は「感情のマネジメント」そのものだと言える。
そのためには「労働環境」を、時間や賃金だけではなく心理的安全性や納得感も含めて再定義する必要がある。
同時に、労働環境の整備に最も重要な役割を果たすマネジメントも、指示や管理ではなく感情を扱う専門家としての素養が求められていくだろう。
労働市場の流動性(転職の自由)が確保されていることは、働き手にとって悪いことでは無い。
だが、その中身が不健全なものであってはいけない。
健全な労働市場の流動性 もまた、感情のマネジメント が大きな要素となっていく。

